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2017年11月12日日曜日

いまなぜ零細業者なのか

11/19(日)まで松井寛泰写真展『Labyrinth』開催中です。
11/25(土)・26(日) 『目黒セントラルマーケット』に出店します。
12/7(木)〜9(土) 『点店終点


点店、それは中年の心の中にいた青春の幻影・・。ふいに聞こえてくる城達也の声に耳を澄ましながら頁をめくれば、ブラー系エフェクトのように滲む紙面。それは涙のせい?それとも老眼?さて、皆さまにご愛顧をいただいておりました中央区古道具店合同買い廻り痛快企画『点店』も、いよいよ次回12月の開催を以てファイナルと銘打つこととなりました。そしてこの素敵なタイミングで、現在発売中の「オズマガジン12月号」の誌面にて点店のことをご紹介いただいております。しかも6頁も。誌面構成のこの破格ぶりに、思わず版元のスターツ出版の会社概要をサイトでチェックしてみましたが、特に何も分からずじまい。
 4店舗が集まってのインタビューが載っているのですが、これが90年代初め頃に結成されたインディーズバンドの解散記事みたいな趣きがあって、懐かしいような微笑ましいような気持ちになります(ならないかもしれません)。本誌ではボツになりましたが、マレビト前の橋の上で雨のそぼ降る中を撮った写真が、エピック・ソニー時代のエレファントカシマシのアルバムジャケットのようで、割といいと思いました。時代の一風景が雨と涙と川の流れのせいで、彼方に霞んでいくのでした。
 そしていま店舗では、松井寛泰写真展『Labyrinth』を開催しております。物体が放つ光に対してレンズやカメラを使って光学的操作を行い、それを感光剤に照射させてから、現像・焼き付け等で紙等の支持体に像を定着させるのが、写真の定義です。字義どおりに真を写すと解釈すると語弊があって、本来は光を結像させる光画です。フォトグラフの光画性をいっそう強調するために、工程の手数をやけに多くせざるを得ないその拘りは、むしろ滑稽でさえあるのですが、花鳥風月好きの日本人には、その反自然性を構築するための滑稽さはよく理解するところではないようです。
 セザンヌ、ジョイス、ゴダール、吉増剛造、川久保玲、坂田和實・・そのジャンルが持つ制度性を明確に際立たせながら仕事する人たちに、松井寛泰も連なるひとりのように思えます。19(日)までです。ぜひご高覧くださいませ。


今、万感の思いを込めて・・みたいなノリで。



外光の射し込み方でかなり見え方が違います。ぜひ何度も
お運びを。                     


詩人の手みやげです。心憎いですね。



2017年11月6日月曜日

リットゥ

11/11(土)〜19(日) 松井寛泰写真展『Labyrinth
9(木)・10(金)は搬入・陳列のためお休みです。

11/25(土)・26(日) 『目黒セントラルマーケット』に出店

12/7(木)・8(金)・9(土) 『点店終点』


 止まない雨はない。ということで、日曜はひと月ぶりの行商でした。灰色の空から落ちてくる雨が、まるで露店商たちの涙のように見えた10月を何とかやり過ごして、霜月一週目の日曜日は恩寵のような快晴。ただ前日までの暖かな空気が一変して、ジッとしてると底冷えしてくるような寒さでした。あまりの寒さに3時を回る頃には帰り支度を始めて早々に撤収、浅草のフルーツパーラーゴトーへ。店の前は結構な人だかりで、この寒いのにみんなよくパフェなんか食べる気になるな、と呆れながら4種の柿のパフェ(1,280円)というのをいただきました。ほんとは洋梨のパフェが目当てでしたが、用意してた分が切れてしまい追熟中とのこと。一両日中には再開するそうなので、お出かけの際には問い合わせを入れるといいかもしれません。
 しかし本当に言いたいのはそんなことではなく、松井寛泰展の宣伝をしないといけないのです。日本ではオリジナルプリントで写真を見るという習慣が根づいていませんが、松井さんの職人肌が遺憾なく発揮されたゼラチンシルバーによるプリントの美しさを体感するには、実物を見ないでは始まりません。職人気質ということでは、先日展示会を催した小野寺公夫さんとも共通するところがあって、図らずも「まだ見ぬ職人列伝」のような展示が続くことになります。
 写真は複製可能なペラペラの1枚の紙ではなく、もっと絵画や彫刻のような物感を携えたモノであることが、オリジナルを目にすると分かると思います。松井寛泰の写真を見たあとは、浅草に出て洋梨のパフェを食べるというのもいいでしょう。皆さまのお越しをお待ちしております。

善光寺参りと同じく、一生に一度は見ておかないと
いけない写真です。              

富有柿と太秋と東京御所と東京紅を使用。富有柿以外は
区別がつかず。                  





2017年11月1日水曜日

おしらせばかりがもろもろと

11/5(日) 有楽町大江戸骨董市
11/11(土)〜19(日) 松井寛泰写真展『Labyrinth
11/25(土)・26(日) 目黒セントラルマーケット
12/7(木)〜9(土) 『点店終点』

インスタグラムで商品紹介をしております→👃

盛岡の先鋭的なセレクトショップRiZM CLOSETさんにて小野寺公夫漆器展が開催されます。当店からだと東京駅まで出て、新幹線はやぶさで2時間13分ほど。お店は盛岡駅からほど近い場所。ぜひ。11/3(金)〜12(日)


 年末進行、と声に出してみると、零細の古物商あたりでもいっちょまえに浮世の動きに足並みを揃えているように聞こえるものです。ふだんボンヤリしてる分、少しばかり仕事が立て込むと異常に忙しく感じてしまうのですが、落ち着いてみれば、その実たいしたことはありません。とはいえ落ち着いてもいられないのが、上のお知らせにも書いた松井寛泰さんの写真展です。現在アメリカのギャラリーと契約していて、日本での活動がほとんどなかったので、今のところさほどその名は知られていないようです。写真表現の枠組みを意識させる創作はドメスティックなシーンでは捉え切れないものがあり、おそらく数年のちに逆輸入の形で名前を聞くことになるタイプの作家だと思います。マツイヒロヤスと読みます。ぜひ覚えておいてください。以前の当ブログでの紹介記事です。→👀 ご参考までに。Facebook等で追って情報を更新してまいります。
 仕入や展示の宣伝行脚等でウロウロしていて、開店時間が不規則になりがちです。お問い合せなどございましたら、メールやインスタグラムのDMでお知らせくださいませ。では、11月もどうぞよろしくお願い致します。


展示会目白押しの年末年始。向き不向きを考えずに、すべてに足を
運んでみると、新たな発見があるかもしれません。       


 

2017年10月23日月曜日

馬車馬

10/29(日) 有楽町大江戸骨董市
11/5(日) 有楽町大江戸骨董市
11/11(土)〜19(日) 松井寛泰写真展『Labyrinth』


 展示会や仕入れ、催事の手伝いなどでここ2週間ほどは忙しくしておりました。というか、忙しぶっていました。急な気温の変化で体調を崩しながらの日々だったので、苛酷な試練にでも立ち向かっているような気分がして、これは己の度量が一回り大きくなる兆しかとも思ったのですが、錯覚だったようです。
 さて、小野寺公夫さんの漆器の展示会には、会期中たくさんの方にお運びお買い上げをいただきました。本当にありがとうございます。いにしえの職人気質全開の、書で云うところの楷書体の作行きなので、生活工芸全盛の世には少し重過ぎるだろうか?と思うこともありましたが、それも杞憂で、いいものは売る側の思惑を越えるようです。人気はやっぱり椀類です。漆に潤滑の混ぜものをしない小野寺さんの漆器は、塗り肌に光の粒が定着しているように見えます。それでよく言われるように、ふんわりした印象を与えるのかもしれません。何かの折に見かける機会があったら、よく網膜に焼き付けておいてください。
 11月にも展示会を一本入れています。写真家というのか写真を媒体とした現代美術家というのか、松井寛泰という斬新さと職人肌が共存した人の展示です。写真という表現は見方がよく分からないうえに、ある見方を強制されてしまうような気がして、限られた人しか展示に足を運ばないイメージがあるかもしれません。なので、そこを覆してみたいという仄かな野心もあるのですが、大風呂敷を広げると後で泣きを見るので、今のところ煽りはこれぐらいにしておきます。追って展示会情報を更新していきます。
 それでは今週もどうぞよろしくお願い致します。



 

2017年10月11日水曜日

工人たち

小野寺公夫の仕事「漆の声、木の文法」10(火)〜13(金)は通常19時までの営業を
20時まで延長いたします。

 ただいま当店では、宮城県鳴子のレジェンド、小野寺公夫さんの作った漆器の展示会を開催中です。キミオ・オノデラといえば、「勇壮な塗りの力を持った漆器を通し、世界と結びついているという、我々の日常的感覚に隠された深淵を暴いた職人」として、国際的に評価されて然るべきだと思うのですが、なかなか物作りには厳しいこの国であります。使う器として細部まで配慮され、堅牢さと美しさのために下地から本塗りまで一切の妥協を許さない、昔気質の職人魂を発揮する工人たちの最後の末裔。そんな漆工は東北では鳴子の小野寺さんと、あとは会津にもうひとりだけです。フレデリック・ワイズマンが密着して映画化してくれたら、初日の舞台挨拶には駆けつけなければいけません。と、”失われつつあるもの”煽りをしてしまいましたが、今も現役で作り続け、それどころか新作の構想までしてるぐらいですから、小野寺さんもまだまだ枯れるつもりはないようです。
 楷書体で書かれた野太い器といった感じの小野寺さんの作品は、今の工芸シーンには退屈に映るかもしれません。しかし修練を積まずに草書に走るのは、何のトレーニングもしないでUFCのオクタゴンに上がるのと同じでしょう。奇抜な動きは体幹を鍛えてこそです。フルーツパーラーゴトーのパフェも、コーンフレークやスポンジケーキで上げ底したりせず、愚直なまでに果物とアイスクリームのみの組み合わせによる純度の高さを貫いています。そろそろ洋梨のパフェが出る頃でしょうか。去年は食べ損ねているので、今年こそは何としても・・。
 というわけで小野寺公夫展、皆さまのお越しを心よりお待ちしております!

豪快な大椀としゃもじ。





 

2017年10月2日月曜日

葡萄、漆、人生

10/5(木)・6(金) 展示会の搬入・陳列作業のためお休み
10/7(土)〜15(日) 小野寺公夫の仕事『漆の声、木の文法』

 売上げの多少の如何を問わず、パフェを食べることをあらかじめ宿命づけられた者たちが集う場所、大江戸骨董市。日曜日、素晴らしき秋晴れの下、有楽町まで行商に出かけてまいりました。当店にとっては、8月第1週目以来の有楽町です。久しぶりの出店で、大切なことをいろいろと忘れている気がしたのですが、もう何を忘れているのかさえ思い出せないので、そんな憂い事は潰れた銀杏の匂いが混じる秋の風ともに空へと放り投げてしまいました。たくさんの方にお運びお買い上げいただき感謝申し上げます。
 というわけで、比較的意気揚々と浅草フルーツパーラーゴトーへ。夏の盛りに出向いたときには、2回ほど完売による早じまいに遭ってしまい、こちらも久しぶりです。この時期はぶどうのパフェ。初物七十五日ということで、旬のものを食べて長生きでもしようという腹づもりですが、浮世の厳しさに身を窶してるくせに、このうえ長く生きてどうするのかというペシミズムも頭をよぎります。しかしテーブルへと運ばれる葡萄たちの輝きを目にすれば、そんな思いは瞬殺されます。
 注文したのは『ルビーロマンの入った14種のぶどうのパフェ』税込1,680円。三段に構成され、各位置に的確にそれぞれのぶどうが配置されています。一段目を見ても、ナイアガラ、ロザリオ・ビアンコ、クイーンニーナ、巨峰、甲斐路、スチューベンと、巨峰以外は人生で一度も聞いたことのない品種ばかり。今回はカウンターに座ったので、パフェの出来上がるまでがよく見えました。完璧な分業体制によってパフェが徐々に構築されていく厨房の様子は、まるでルネサンス期の職人の工房のようでした(見たことありませんが)。

 三段といえば、10/7(土)より当店にて開催される小野寺さんの漆器は、いわゆる本堅地と呼ばれる輪島流儀の下地による堅牢さを備えています。下地とは漆を塗る前の木地を丈夫で平滑にするための作業で、この下地付けを三回行うのを三辺地と言います。
 と、パフェの話を無理やり自分の店の展示会に結びつけたりして、浅ましい商魂が見えすいておりますが、漆器(特にお椀)の丈夫さは下地にかかっているので、そのあたりを気にしてみると、漆器の見方も少し変わってきて楽しくなるかもしれません。塗り立てのお椀なんかは、どれもピカピカしてて同じに見えそうですが、下地付けに手間がかかっている器は、張り詰めたような力感が漲っています。漆のことで気になっていることがあったら、満を持して来京される小野寺さんにぜひ尋ねてみてください。

命の塊のような、まぶしいほどの煌めき。


写りが悪くてすみません。去年買って1年〜1年半ほど
使っている小野寺さんのお椀です。使い込むうちに茜色に
変わっていくと言いますが、当初の色をもはや覚えていません。
送られてくる新しいものを見れば、その変化に驚くでしょうか。


骨董市ですだちをいただきました。人生の酸いも甘いも
噛み分けた同業氏からです。            

 

2017年9月29日金曜日

漆を売るしかない

10/1(日) 有楽町大江戸骨董市に出店
10/5(木)・6(金) 展示会搬入陳列のためお休み
10/7(土)〜15(日) 小野寺公夫の仕事『漆の声、木の文法』

 残暑の苦しみもなく、あっさり秋へと移行した2017年夏。ここ数日は空気の色も冴えてきて、朝晩などは少しばかり肌寒く、いよいよ漆器の季節到来といった感じです。と、前振りがわざとらしくて恐縮ですが、今年も縁あって小野寺公夫さんの漆の仕事を見ていただく機会を設けることとなりました。こちらとしては、「伝説の漆職人の全貌が遂に!」とか「工芸界のまだ見ぬ強豪襲来!」とか「塗りにおけるシェイクスピアの恐怖」などといくらでも煽り文句は思いつくのですが、小野寺さんの質実で素朴な漆器が、そんなインチキな売り口上を撥ね飛ばしてしまいます。とにかく実物を見て触わるに如くはないと思っております。10月7(土)・8(火)・9(月・祝)には小野寺さんご本人もいらっしゃるので、こちらも見て触って、というわけにはいかなそうですが、ぜひいろいろとお話しをなさってください。
 次の日曜日10/1は久しぶりの大江戸骨董市出店ですので、こちらもよろしくお願い致します。夏の厳しすぎる商戦を満身創痍でかいくぐった古物商の起死回生の行商ということで、風冴える秋晴れの下、心の扉を叩く物を見つけに来てください。お待ちしております!