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2017年5月26日金曜日

三俵の大黒天

 一瞥しただけでは小さな黒い塊ですが、よく見れば俵の上に乗って袋を担いでいるので、大黒像であることは分かります。しかし割と変な大黒さまです。米俵を三つ重ねて乗ってますね。たいてい二俵ですが、それは米二俵の食い扶持で足れりとする清廉な心を教えているとのこと。だとすればこの大黒さま、常より1.5倍ほどの貪欲さを示し、そのぶん多くの福をもたらしてくれるかもしれません。川崎の金神神社の福寿大黒天(江戸時代)が三俵に乗っかってるので、類例があることはあるようです。が、俵の向きはふつう端の桟俵を前にすると思うのですが、どういう事情によるものか、これは側面。そのため、なにやら土管の上にしゃがみ込む謎めいた人物に見えます。ブランクーシかアンリ・ゴーディエ=ブルゼスカを1世紀以上先取りしたかのような抽象的な造形、虫喰いの痕も好ましい魅力に満ちた大黒さまです。お手元にぜひ。




高さ6.4×俵の巾3.1センチ
江戸時代
彫りによるものなのか光の加減のせいなのか、怒った顔
にも見えます。元はインド発祥の憤怒の形相をした神様で
あったそうですから、系譜学的には正しい表情であるとも
言えます。                     

七宝が入っているとされる袋。こんもりとした
彫りがかわいらしいです。         


28,000円


2017年5月23日火曜日

器官なき身体としてのイベントツアー

24(水) 出張業務のため17時開店。
27(土) 仕入とイベント『第12回 詩について・対話篇』が重なるため店舗は臨時休業いたします。ご容赦くださいませ。
28(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします。

6/8(木)〜11(日) 『点店5』開催。

インスタグラムもよろしくお願い致します→👃


 万物の動きに満ちる季節、小満。そして芒種、夏至とこれからの時期、それぞれの場所でさまざまなイベントが開かれる模様です。耳に入っているところだけを挙げてみても、下のようにたくさんの催しが予定されていますから、見逃しがないように今のうちから綿密な計画を立てておかねばなりません。などと取ってつけたように余計なお世話を焼くのは、我々が企画している『点店』もぜひ巡回の候補に入れておいてくださいねという、可愛げと姑息さの入り混じった念押しと言ったところでしょうか。

5/19(金)〜6/5(月) circle(谷保)『POP LIFE』
5/27(土)〜6/4(日) うつわノート(川越)『教草 古布展』
5/27(土) ギャラリーブリキ星(西荻窪)『まるしかく』
5/30(木)〜6/4(日) 森岡書店さんのはち(銀座・新富町)『多肉植物生活のすすめ』
6/2(金)〜6/11(日) 白日(鳥越)『渡辺遼個展』
6/8(木)〜11(日) 『点店5』(東日本橋・新川・八丁堀・新富町)
6/9(金)〜11(日) DEE'S HALL(南青山)『A.A.A.A.第三回展 変化・変容
6/9(金)〜11(日) 『青花の会|骨董祭2017』(神楽坂)
6/9(金)〜7/9(日) 丘の上 APT 兒嶋画廊(国分寺)『縄文シャワー展示室展
4/8(土)〜9/17(日)『ドクメンタ 14』(アテネ・カッセル)
5/13(土)〜11/26(日) 『第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展』(ヴェネツィア)
 
 特に6月の第2週あたりはイベントが集中してますから、スケジュールを考えているうちに「この『点店』とかいうのは、よく分からないから別に行かなくてもいいかな」とか言い出す人がいやしないかということを何よりも怖れます。シネマテーク・フランセーズの創設者アンリ・ラングロワは、映画について価値判断ばかりしたがる批評家を難じて、「菓子屋に入って菓子を買って食べもせずに、ただ眺めて品定めするなんて!私は次から次へと菓子を食べてしまいたい。みんな美味そうに見えるし、事実、美味いに決まってるんだ」と言ったそうですが、その顰みに倣って、イベントだって行けば何だって楽しいに決まってるんだ!と強弁してみたくなります。
 ヴェネツィアから帰ってきた足で銀座新富町界隈で多肉植物を愛でて、そのあとに川越へ古い布を買いに行ってもいいし、神楽坂で巨大な信楽の壺をゲットしたままカッセルまで飛んだっていいわけです。一定の価値判断を揺るがし続ける縦横無尽に錯綜したイベント群。眼と手と足におけるアナーキズム。というわけでイベント目白押しの季節ではありますが、『点店5』をどうぞよろしくお願い致します。


網膜に映り込んだDMのイベントにはすべて出掛ける気概を見せたい
この季節。もはや夏の様相ですが、梅雨寒で気温が下がるときもある
かもしれません。なにとぞご自愛くださいませ。         




 
 


2017年5月15日月曜日

八国丁立堀

5/17(水) 出張業務のため17時に開店
5/21(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店

6/8(木)〜11(日) 中央区古道具イベント『点店5』開催

インスタグラムもぜひご覧ください→👃


 もしかして地球の自転速度って上がった?と思ってしまうくらいに、月日の流れが早い今日この頃。ちょっと前までゴールデンウィークだったはずなのに、今やそんなものは始めから無かったかの如く人々は生活しています。人間たちの営みの気配が失われしゴールデンウィークの八丁堀。苦肉の策として、均一本大放出企画と日本橋こっとういちへの出店を敢行しまして、連休期間中をお蔭さまで楽しく過ごすことができました。ご来店お買い上げの皆さまに感謝申し上げます。楽しすぎて写真を撮ることを忘れてしまっていますが、写真なんかなくても、遠ざかる雲のような5月のメモリーは、きっと心の中に生き続けていくことと思います。
 さて6月の第2週には、中央区に恒星のように点在する古物業者たちによるイベント『点店』が開催されます。お蔭様でこの度で5回目を数えることとなりました。今回は少し毛色が変わりまして、コレクターズスペシャルと銘打ち、各店舗の商品に加えて、それぞれがお付き合いのあるコレクター氏に品物を出していただき並べるという企画。商品情報は追って各店よりFacebook等でアップされるはずなので、少しばかりは胸をときめかせながらお待ちください。
 逆光が協力を仰いだのは、昨年2月に当店にて作品展示をしていただいた伏木庸平さんです。もっとも伏木さんの場合、国立で飲食と古物を扱う店舗『台形』を経営(伏木さんは古物担当)していますから、正確にはコレクターではありません。ただ生半可な業者の及ばない買い度胸と目筋の純度の高さによって手元に招来された品々が、逆光でどんな化学反応を起こすかが見たくて、出品をお願いした次第です。先日、挨拶がてら久々に台形に行ってまいりましたが、相変わらず変わった空間でした。絶えず何かがズレて生成しているというのか・・飲食と古い物と聞けば、割とありそうな組み合わせに思えるのに、現実の店は唯一無二。にもかかわらず、当人たちがそれをことさら新しぶって見せてないところが、また変わってます。え、だってオカシくない?と、こっちのツッコミを誘発するインタラクティブな店舗作りを目指しているわけでもなさそうです。気にはなっていたけど、まだ行ってないという方、ぜひ一度お運びください。そして逆光とのフュージョンがどんなものになるのか、今から妄想しておいていただけたら幸いです。


書肆逆光店内。埴輪の残欠、ベークライトの椅子、
奉納剣、穴あけパンチ、漆椀など、どれもが有機的な
関連性を際立たせつつ並んでいる・・とはとても言えない
陳列。                      


台形。キッチン入口壁面。聖人像や土俗面など。

飲食担当の台形店主。一般の飲食店に比べると、かなり
イレギュラーな店内だと思うのですが、店主は特に意に介さず。 

虫喰いの像やらぶち割れの仏花器やら。 
絵馬やら神像やら。

棚上段は松本辺りの道祖神でしょうか。いいですね。


絶対的な美味さを誇るプリン。
江戸期の神像とともに。

妖しく照らし出されるケースの中のプリン。

壁面のアクセサリーコーナー。



護符各種。












 
 

2017年5月5日金曜日

人は城、人は石垣、人は堀

5/6(土) 日本橋タワー広場の日本橋こっとういちに出店。店舗はお休みいたします。

6/8(木)〜11(日) 『点店5』開催!

商品をインスタグラムにアップしています。どうぞご覧ください→👃

 彼を知り己を知れば百戦して殆うからず。なにかと戦国大名の名言や孫子を引き合いに出してくる人というのは概して胡散臭いものですが、6(土)に出店する「日本橋こっとういち」が首尾よく運ぶために、開店前に場所の確認と周辺の市場調査をしてまいりました。前日まで開催場所を知らずにいるという時点で、すでに負け戦の様相ではありますが、実はそこも駆引きに含まれているのだ、と敢えて言ってみたい気分です。
 開催場所の日本橋タワー広場は、髙島屋日本橋店を日本橋方向にもう少しだけ進んだところで、立地は抜群です。抜群すぎて、八丁堀とのギャップにちょっとモジモジしやしないかと却って心配です。銀座の煩雑さに比べれば落ち着いた雰囲気なので、街歩きを楽しむならば日本橋の方がおすすめです。江戸の繁栄を今に感じながら歩いていると、ふいに視界に飛び込む謎めいた古物群。なかなかの醍醐味ではないでしょうか。
 MAREBITO 、さんのはち、No CONCEPT各店も出店します。うち一店舗では心許なく容易く折れてしまいそうなところを、四店共々となれば一挙に心強くなるという、図らずも毛利元就の三矢の教えに基づいてしまっているあたりが、なんとも取って付けたようで恐縮です。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。


日本橋タワー 
開催場所のタワー前広場。立地が良すぎて腰が引けます。

日本橋再開発で隣りも何やら建設中。

斜め向かいには丸善日本橋店

髙島屋日本橋店



 
 

2017年5月4日木曜日

六か八か

5(金)まで茣蓙上百円均一古本企画『open study at gyakko』開催
6(土) 日本橋タワー広場で開催される日本橋こっとういちに出店

6/8(木)〜11(日) 『点店5』開催。詳細は後日お知らせいたします


 何事もまず自分の目で確かめろ、と叩き上げのジャーナリストになったつもりで、中央区銀座六丁目の商業施設、銀座シックス(G SIX)に行ってきました。そして日・祝日はドトールのようなチェーン店でさえ休みになる八丁堀界隈との違いを、確かにこの目に焼き付けてきました。中央通りを彼方に続く人並みが次々にシックスに飲み込まれてゆくのに身を任せて中に入っていくと、各場所に配置された店員が拡声器で促す安全誘導の声と喧噪が相俟って、館内はスイサイダル・テンデンシーズのベルリンライブのような状態になっていました。せっかく銀座に来たんだからと、思い出にルシアンペラフィネで今季のサマーニットでも買おうと思っていましたが、あきらめて引き返し、セブンイレブンで岩塚製菓のとうもろこしあられを買って八丁堀に帰ってきたのでした。
 帰途、警察博物館がリニューアルされたのを思い出して、パトカーと記念写真でも撮ってこようかと思ったのですが、さすがゴールデンウィーク、警察犬が出動してのイベントがあるようで、親子連れで賑わっていました。右に折れて路地に入るとまたも人だかり。人気のケーキ屋さんイデミ・スギノに行列ができていました。
 あれほどどこもかしこも人だらけだったのに、八丁堀の人の気配の無さは驚きです。都会にいながら森林限界を縦走してるかのような斬新な体験かもしれません。というわけで、銀座の喧噪に疲れたあとには、清澄な山小屋のような当ビルにぜひお越しください。






警察犬との記念撮影。もちろん行列ができていました。
イデミ・スギノ。ゴールデンウィークでなくても
行列ができている店です。          

八丁堀二丁目の通りです。人間どころか生命の気配が
感じられない、と思ったら雀が横切りました。   
のどかですね。                 



 

2017年5月3日水曜日

幾逆何光

3(水)〜5(金) 茣蓙上古本市『open study at gyakko』を開催

6(土) 日本橋タワー広場の日本橋こっとういちに出店

6/8(木)〜11(日) 『点店5』開催


 恩寵のように爽やかな気候のゴールデンウィークの谷間、清澄白河の幾何では、古物商にしてアーティスト、じんた氏の企画展『open studio at kika』が始まりました。古い紙ものを使った制作風景を見せながら、仕入れた古物も販売するという趣旨のイベントです。
 幾何の白を基調にしたガラス張りの店内に、じんた氏の乾いた作風の作品がよく映えて、あたかも西海岸のギャラリーに来たかのようです(行ったことありませんが)。ウインドウの什器には、食べかけのシャケのサンプルや巨大なタラバガニに襲撃される貨物船の模型などが飾ってあり、いっちょ一儲けしてやろうという意図を感じさせない(本心は窺い知れませんが)ユーモアが、清々しさに拍車をかけているように思えました。会期中に作品が出来上がっていくので、店内の風景も少しずつ変わっていくのでしょう。何度も足を運ばなければいけません。
 当店はそこに便乗して、上記の企画を始めています。この時期の八丁堀は例年、人類滅亡の悪夢を思わせるほどに人の気配が消えるので、いっそ休みにしようかと思ったのですが、物置きの在庫整理も兼ねて、本をゴザに広げて100円で販売することにしたのでした。じんた氏の企画のような創造性はありませんが、こちらも一応言うなればワーク・イン・プログレスです。お待ちしております。




大きなガラスによる最高の採光。うらやましい。 
古地図や魚の絵をキャンバスに貼り付けた作品。
何枚も欲しくなります。           

ここに腰掛けて・・

こんなふうに制作をします。



こけしのような木型がずらりと並んでいます。
この無機的な反復がほのかな可笑しさを誘います。


ところ変わって逆光店内。収拾つかずにいる段階。

収拾つかず。

少しつきました。



2017年5月1日月曜日

王国の住人

5/3(水)〜5(金) 清澄白河「幾何」にて開催の『JINTA open studio at kika』の便乗企画として書肆逆光で『open study at gyakko』を開催

5/6(土) 東京日本橋タワー広場で開催される日本橋こっとういちに出店


 なんじゃこりゃーッ!!と取り急ぎ叫ばずにはいられないほどの爽やかな日和のゴールデンウィーク初日。その爽やかさに乗じるように、東京ステーションギャラリーで始まった『アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国』に行ってきました。収容された精神科の病院で画かれた妄想世界25,000ページのうちのほんの一端、74点の展示ですが、濃密極まりないヴェルフリの作品とまともに向き合おうとするなら、これぐらいの作品数が限度かもしれないと思いました。
 西洋における美術教育の訓練を受けていない者(子供、独学者など)の作品を謂うアール・ブリュット(生の芸術)は、概念の発生当初は知的・精神障害者や受刑者の制作物を指していました。美術史的な見方では創造過程の文脈を辿れないヴェルフリの作品は、まさに人間が何かを作る衝動の生の状態の顕われのようです。色彩感覚が鮮やかで、むしろ垢抜けていると言ってもいいぐらいですが、曼荼羅のような図像は見入っていると魂を取り込まれそうで危険です。大丸でお弁当を買って、皇居の広場で腹ごしらえをしてから見に行くつもりでいた方がいいかもしれません。

 そして上記の通り5/2(火)〜7(日)まで清澄白河の幾何さんで古物商&アーティストじんた氏のイベントがあります。逆光も細々とした便乗企画でゴールデンウィークを乗り切るつもりでいますので、ヴェルフリ⇄JINTAの千代田区〜江東区の流れに、中央区逆光を加えていただけたら幸いです。今週もよろしくお願い致します。

地球全土を買い上げて、自らの王国の土地と
しなければならないとヴェルフリは考えて
いました。               
GW中は銀座シックスではなく、 幾何に行くのが
正しい過ごし方のようです。         
パクリ疑惑というよりパクリそのものです。
 じんた氏了承済み。