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2014年6月30日月曜日

顔面ポエジー

7/1(火)は仕入のため、開店は13時からです。
7/2(水)3(木)は私用のためお休みいたします。
なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 市場に仕入に出かけると、業者の中にはどう見ても堅気ではない顔をした人を見かけます。別にその筋の人というわけでもないのに、明らかにサラリーマンを勤めあげて出来上がる顔ではない。ちょいワルというのが昔いて、それじゃどれくらいワルいのかといえば、シャブの横流しや人身売買に絡んでるわけでもなく、あの人たちは正当に得た収入で記号的な贅沢を見せつける特にどこもワルくはない人畜無害な人種なのでした。あれは人工的に作り上げた顔なんですね。それに比べて市場に出入りする人たちの顔は、根元敬言うところのいわゆる「いい顔」で、これは一朝一夕では形成され得ないに違いありません。
 40過ぎたら自分の顔に責任を持て、とかなんとか言われますが、本当にあれほどの顔の責任の所在が自分だけに帰するものなのかどうか。あたかも天からの授かり物のようなあれらの顔が。仮にあの系統の顔を100%自分だけで作り上げられるのだとしたら、その人たちは重要無形文化財保持者として国から認定されるべきでしょう。
 皆さんの中には、骨董市に行かれる方もいらっしゃるかと思いますが、どうか「もの」だけに気を取られないで、それを売っている人の「顔」にも目を向けてください。その日、一番いい顔の店主から買ってみる、という縛りを自分に課すのもおもしろいかもしれません。もし偽物をつかまされても、それはもう本物以上に本物なのだと思います。



『セリーヌ』フィリップ・ソレルス
現代思潮新社 2011年6月30日初版
『夜の果ての旅』『なしくずしの死』、一作ごとに
スキャンダルを巻き起こす呪われた作家セリーヌ。
俊英ソレルスもセリーヌのいい顔に憧れているに 
違いありません。               
           1,200円             
  
             

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