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2014年7月5日土曜日

金銀砂子

 東京古書組合主催の明治古典会七夕古書大入札会の下見に行ってまいりました。と書くと、さぞ落札の意志満々なのかと思われそうですが、見に行っただけです。クロークに手荷物を預ければ、古書マニア、ひやかしの一見、零細業者、思春期の中学生、兵庫県議会議員など、年齢・職業・性別・性格を問わずあらゆる人間の出入りが自由なのです。ことによると、内々に出入禁止のブラックリストが存在しているのかもしれませんが、少なくとも私は入口で止められることはありませんでした。毎金土曜日に即売会を開催している東京古書会館が会場なのですが、ふだん即売で使われる地下は締切って、2〜4階を商品の陳列場所として開放しています。
 各階は古典籍・古文書、文学、美術のジャンルごとに仕分けされて、見やすく展示されています。外に陳列されているものは常識の範囲内で手に取ることができますし、ガラスケース内のものは係の方に申し出れば、出してもらえるようです。さすがに逸品揃いで、視線が散ってなかなか定まりません。しかも美術館と違って、金銭の折り合いがつきさえすれば入手できると思うと、感極まって号泣しそうな気配もあります。
 で、いいなー欲しいなーと思ったのが、ジョイスの詩を左川ちかが訳した『室楽』。椎の木社の瀟洒な装幀が物欲をそそります。最低入札額はたしか8万円だったでしょうか。オークションですから、頑張ってなんとか8万を工面しても、もちろん落札できる保証はありません。これはケースの中にあって、ちょっとパラパラめくってみたかったのですが、「おーい、これを見せてくれたまえ!」と言う勇気もなくモジモジしているうちにタイムアップ。自分の店の開店時間に間に合わなくなります。8万使わずに済んでホッとしたような気持ちになり、資生堂パーラーで豪勢なランチでもしようと思いましたが、なにか勘違いしている気がしたので止めました。



 
『マラルメ詩集』佐藤朔・立仙順朗訳 ほるぷ出版
堀口大學監修 ピエール・カルダン装幀・装画
1983年6月初版 函 天金 限定100部の内099              


装幀のピエール・カルダンの誕生日は
 7月7日。              
2,000円

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