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2016年12月23日金曜日

沼津食わず

25(日) 乃木神社骨董蚤の市に出店
28(水) 年内最終営業

1月3日(火) 有楽町東京国際フォーラムに出店
5(木) 店舗通常営業開始


 お誘いをいただき、静岡県の三津浜(みとはま)という寡聞にして今まで知らずにいた土地で催された交歓会に行ってきました。ヌラリとした水面が静かな漁港は、伊豆や三島などの行楽地が近いにもかかわらず観光ズレしていなくて、当日は季節外れの暖かさだったこともあり、実に穏やかで明媚な雅趣を湛えていたのでした。島のはざまから顔を出す富士の山を見ていると、競り台に上がるものすべてに「3,776万!」とヤリを突いてしまいそうな鷹揚な気分になってきます。そんな意味不明のテンションを抑えつつ、百戦錬磨の猛者が集う場で、少しばかりは新しいものを仕入れてまいりましたので、年末のお忙しいなかを搔い潜ってお運びいただけましたら幸いです。


もはやこのアングルでしか撮りようのない風景。
かつて太宰治や梅原龍三郎も訪れたという。  

交換会を含め最近買ったもの。
石包丁、土師の小壺、デンマークのコップ、
三笠書房のロレンスの詩集、太白手の盃、
塗りの燭台、丹波の幕掛け徳利、柿渋染めの暖簾など。
一見脈絡が無いようで、実際にも無いという。
気になるものがございましたら、お気軽にお問いあわせ
ください!                    

 
 

2016年12月19日月曜日

そして人生は続くとか言ってる場合ではない

21(水) 仕入のため臨時休業
25(日) 乃木神社骨董蚤の市に出店
28(水) 年内最終営業

1月3日(火) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店

店舗営業は1月5日(木)からです。どうぞよろしくお願い致します。


 「人生って旅みたいなものだよね」、と本所吾妻橋の駅から乗り込んできた小学4年生ぐらいの男子二人組の一人が言ってるのを耳にしたら、「そう、人は皆、人生という銀河のさまよいびと・・」と高木均の声で脳内ナレーションが始まってしまい、つい東銀座まで駅を乗り過ごしてしまう冬晴れのある日、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 日曜日は東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店。久々にまあまあの売上げを確保しました。あくまで「まあまあ」であるので、本来はこのペースを恒常的に維持しなければ生きていけないのですが、まったくもってままならないのが人生であり、だからこそ文学や音楽といった営みが芸術として成り立つのであり、歴史は常に変転していくのだということを考えさせられました(ウソですが)。ともあれ、お立ち寄りお買い上げくださった方々に感謝申し上げます。
 さて、21日は少しばかり遠い場所に赴いて仕入をしてきます。遠いと言っても、波照間島とかトリニダード・トバゴほどではなく、歩いたら直線距離で26時間ぐらいのところです。何が買えるのか、そして何が買えないのか。愉しいものをお披露目できるといいのですが。


連綿と何かが受け継がれていくイメージ図




2016年12月12日月曜日

下を向いて歩こう

9(金)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催中
14(水) 搬出終了次第開店いたします。15時頃の予定です。

インスタグラムで店内商品を紹介してます。こちらから→👃


 ただ今、中央区の古物商4店舗8業者による『点店4』を開催中です。逆光はその都度気になる業者諸氏を招聘しているのですが、今回のタッグパートナーは、世の全ての造形物をあまねく視界に収めて脳内アーカイヴを作り上げんとする、前代未聞の事業に従事する来るべき労働者、あの「世界」さんです。
 扱う品物はおもに戦前以前の玩具、紙もの刷りもの、古い子供服、その他この世に在るもの全てです。これだけの品物を一挙に並べたことはない、と世界さん自らが言うだけあって、かなり見応えのある展示になりました。もちろん世界さんフリークではなくとも、目にしておく価値は十分あります。一見すると小さくてカワイイものの陳列会のようでありますが、たとえばオモチャ一つ取っても、遊びに伴う身体所作やその造形が、底のところで民衆の信仰や志向の古層につながっていることを想起させるものです。少しばかりの狂気を孕んだ小さな民俗文化博覧会といった感じでしょうか。13(火)まで。ぜひお見逃しなく。
 それにしても毎度思うのが、どうして世界さんはこんなものを見つけることができるのか、ということです。仕入れ場所が重なったとき、あとで買ったものを見せてもらうと、自分が一度も目にしなかった品ばかりです。買うのが仕事のこの業種で、自分はいったい何を見ているのか。世界に存在するものを、もっと照らし出す目を持たなければならないと思うのでした。

一度見ただけでは視界に入ってないものがたくさん
あります。何度でも見てください。       










中世の匂いを濃厚に感じさせる五輪塔と
子供用のバレエレッスンセット。あまり
見ない取り合せです。        

 


 


 

2016年11月28日月曜日

世界と逆光

12/4(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします
12/9(金)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催

インスタグラムで店内商品を紹介してます。こちらから→👃


 日曜日、nestさんnoeudさんと連れ立って、というか車に同乗させてもらい、古道具坂田さんの私設美術館as it isにて開催中の『沖縄パナリ焼展』を見てきました。形・肌とも群を抜くパナリが、無造作なような計算されたような置き方で40個ほどゴロリと並んでいました。3つほど持ち帰って横流しすれば、1年分ぐらいの家賃は優に確保できるだろうと、古物商ならば誰もが思うような凡庸な考えは敢えて胸の内に秘め、清澄な空間と逸品との取り合せを味わってきました。当初12/4(日)までの会期が来年3/26(日)まで延長されたので、機会を見つけてぜひ足を運んでください。




 さて、12/9(金)から始まる『点店』に向けて、共同展示の世界さんから商品写真を送っていただいています。数ある中で、本日は世界さんがブルノ・デシャルムばりに拾い上げて来た魅惑的なドローイングをご紹介します。

3人ともソップ型の力士がレスラーに転向したような
感じですね。ブルドッキング・ヘッドロックをかけた
状態で、敵方のパートナーにドロップキックが炸裂した
シーンでしょうか。                
ハーリー・レイスのような風貌のパンツ一丁の人が
頭に接続された触覚からビームを出しています。
いったいどういうシチュエーションなのでしょうか。

月光仮面的な何かでしょうか。月夜の巨人という
キャプションが、萩原朔太郎のような抒情を画面に
醸し出しています。            

破壊の快楽と死への欲動に満ちた画面。富澤赤黄男の
「蝶墜ちて大音響の結氷期」という句を思わせます。


 というわけで、アカデミズムからは顧みられることのないだろう、不思議な力に満ちた絵の数々。ぜひ点店にお越しいただき、実物をご覧になってください。お待ちしております。


逆光の在庫から世界さんの世界に呼応させられそうな
ものと云えば、たとえばこんなものでしょうか。  
ロッテの何かのおまけ。シルバー仮面のステッカーです。

銅板に一部残る鏨(たがね)の跡。as it isの帰り途に
発見した瀟洒な道具屋さんで仕入れました。   











 

2016年11月23日水曜日

諸々の件

12/4(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします
12/9(金)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催

インスタグラムでの店内商品のご案内をぜひご覧ください。→👃


 以前に金継ぎ教室でお世話になった相田雄壱郎さんの父上である啓介氏の展示即売会『相田啓介 うるし工芸展』が、日本橋の髙島屋7階にて開催されます。期間は11月29日(火)〜12月5日(月)。名義は啓介氏ですが、実際には漆工父子鷹ということで、雄壱郎氏の作品も並ぶとのこと。展示に向けての悲壮な決意がブログ雄壱郎雑記に綴られているので、ぜひご一読を。嘉村礒多とトーマス・ベルンハルトを足したまま2で割らないような文章を目にすれば、誰もが髙島屋の和食器売り場に駆けつけずにはいられないでしょう。大挙して押しかけて、百貨店の工芸・外商関係者を驚嘆させるのも一興です。

 そして師走に入れば、中央区古道具イベント『点店』の開催です。お蔭さまで4回目を迎えることとなりました。今回は銀座一丁目の古美術商、古美術川﨑さんが点店の会期に合わせて、何かしらアレなものをどうにかしてくださるそうです。というわけであの界隈、さんのはち⇄森岡書店⇄古美術川﨑の無限ループの完成によって、更にお楽しみいただけることになりました。もちろん、一生そのループにハマっているわけにもいかないでしょうから、頃合いを見て逆光⇄MAREBITO、No CONCEPTにもお運びください。巡回のモデルコースは追ってFacebookなどでご案内いたします。
 毎回ゲスト業者をお呼びしている当店ですが、この度のタッグパートナーは、毒とカワイさとユーモアを目分量で寸分の狂いもなく適正配合してみせる、伝説のトレジャーハンター「世界」さんです。雑然とそこらに放り出されていれば誰もがスルーしてしまう物たちも、世界さんが取り上げた瞬間から輝いて見える不思議。今回の展示ではその謎に迫ります。というのはウソで、それは自分の手に余ることなので、ぜひお越しの皆さんから教えていただきたく思います。逆光も手に取ってもらえる物を集めている最中です。どうぞよろしくお願い致します。


2週間後に世界さんの世界がこの店内を席捲します。











2016年11月15日火曜日

ある日、国立にて

20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 零細業者たるもの、店が暇だからといって、おやつを食べ過ぎたり、闇金ウシジマくんの無料配信動画に見入ったりするのは禁物です。これらは体と心に良くない影響を与える行為であり、健全な心身を以て資本とする個人事業主にとっては慎むべきことです。
 そこで日曜日、展示続きで疲れた肉体と精神を癒すために、吉原航平氏の『紙偶』展と、一日のみ同時開催されるという『偶の市』を見に国立の台形へ行ってきました。『紙偶』は先のcircleでの『俗の術』と謂わば対を成す展示ですから、本来ならば会期早々に滑り込んで、台形店主特製のプリンを食しつつ、吉原さんに見聞きしたことを紹介したいところでした。『俗の術』では支持体として在った紙が、『紙偶』においては千切られ撚られ貼られることで、直接の存在として世に現れてきたという感じです。木炭での素描の的確さにも驚きましたが、紙による表現は、また別の驚きをもたらします。試行錯誤はあったのかもしれませんが、目の前に在るのは、手に逡巡の跡が見られない明確な造形です。いったいどうしてこんなものが容易く作れるのか、前世の因縁に何かあるのだとしたら、催眠療法で聞き出してみたいところです。
 『偶の市』ですが、こちらは吉原航平&伏木庸平氏の持ち寄りの品を並べた店内蚤の市です。得体の知れない木偶などの民間信仰遺品がテーブルを埋め尽くし、垢抜けた店内の雰囲気と相俟って、意図的に時空を歪めることに成功していました。こうしたものを眺めながら、コーヒーやいちじくのコンポートをいただける店というのは、国内を探し歩いてもそうは見当たらないでしょう。海外に目を向けて熱心に情報を収集すれば、あるいはあと3店舗ぐらいは見つかるかもしれませんが。存在の稀なものというのは、それだけである種の熱を帯びているようです。この蚤の市、当人たちに回を重ねる意向があるようなので、秘かに動向を伺いましょう。あまりの不穏さに、国立市が文教地区の指定から外されてしまったら凄いと思います。

こんなものが貼ってあるので、時おり小さな人たちが
何かを察知して店内を覗き込んだりします。    

卓越した造形。
おそるおそる覗いてみれば、洒落たカフェのような
空間なのですが・・              

テーブルには、もはや飲食店であることを諦めたかの
ような陳列。                  

足下もこんな感じ。 
天井付近も。

松本の七夕人形「カータリ」。   
レースクイーンのような脚線ですね。




 
 

2016年11月4日金曜日

複製技術時代のジャーマンスープレックス

11/3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催中

19(土) 村上蕉雅さんによる花活けのワークショップ『古物に花活け』を開催
参加者募集中です
20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 刺繍があって漆器があって、写真が来て、間を縫うように古道具が3回。というのが今年当店で催した(催すことになる)展示会です。ややもすると脈絡の無い取り合せに思えるのですが、実際脈絡は無いようです。その時々の縁をつないでみたらこうなったという感じで、思い返すと感に堪えません。
 現在開催中の吉田伊豆写真展は、248枚もの作品が並ぶ意欲に満ちた展示です。満ち溢れすぎて、一見では2L版の観光絵ハガキがばら撒かれているだけに思えるかもしれません。伊豆さんの写真はデジタルなのですが、古いアルバムから引き剥がしてきたかのような銀塩写真に見えると思います。これはインクジェット方式で出力された写真をお湯で洗うことで生まれる効果だそうです。水をくぐった印画紙は少し波打って、画面に表情を作り出します。時に洗いすぎてインクが流れてしまい、ニエプスの風景写真のような黎明期の趣きを見せている作品もあります。またフレーミングの妙によって対象物が抽象化し、上下左右が分からなくなったものもあります。どこかアイロニカルなユーモアが漂っていて、エイジングによる単なる古写真の再現とは一線を画しています。じっくり見ていると、表現形態の枠組みを意識した批評性と、物を写し取るという写真に本来潜む呪術性が静かに開示してきて、徐々に体内へ浸透した後に、ある地点で衝撃が駆け抜けます。関節技の応酬から最後に投げ技を決められたといった感じでしょうか。ぜひ時間をかけてゆっくりとご覧になってください。お待ちしております。


プリントを買うという習慣が日本には根付いていないと
思いますが、所有してみたくなる写真がたくさんあります。
並んでいる写真はすべて販売しております。      





2016年10月25日火曜日

眼と手

26(水) 催事宣伝行脚のため14時の開店となります

11/3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催
前日2(水)は搬入休をいただきます

11/19(土) 村上蕉雅さんによる花活けのワークショップ『古物に花活け』を開催
参加者募集中です

11/20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 先週の土曜日。Sezuan氏や長谷雄堂さんに後れを取り、焦って向かった谷保のギャラリーcircleで開催中の吉原航平「俗の術」。考えてみれば、べつに焦る必要もないのですが、そんな無用の焦燥を誘発しかねない何かを秘めているのが、この展示なのです。隣接する自然食食堂で腹ごしらえを済ませ、さてこの日の一番乗りかと思いきや、すでに先客が。様々な古物の催事で、まずたいていは先陣を切って会場に入ってくることで有名なコレクター氏でした。よもやこの手の展示会でも後塵を拝することになろうとは。
 


 蔵を改築したギャラリーの梯子を上ると、木炭で描かれたえも言われぬイメージの集塊が、壁一面にべったりと貼り付いていて度肝を抜かれます。ひとつひとつ見れば、土偶のようだったり、藁人形のようだったり、一刀彫の大黒さんのようだったりと、何かに見えはするのですが、聞けば実物を前にして写したものは一つも無いとのこと。これらはある日ある時、吉原さんが博物館や路傍や本で見たものが、脳内で熟成し、発酵し、場合によっては腐敗したヴィジョンの集積というわけです。モチーフは民間信仰遺品なのでしょうが、ほとんど日本人の信仰以前の古層に蠢く集合的無意識を可視化したかのようです。
 普通の人が目で見て驚くところを、画家である吉原さんは、その驚きを手でも感じているのかもしれません。木炭という、イメージを素早く定着させられる道具の特性によって、手の驚きが支持体に生々しく息づいているのが分かります。国立・谷保周辺の小中学校の美術教育として、ぜひこの展示を見ることをお薦めしたいところです。と言っても、教育関係者の誰もこのブログなど読んではいないでしょうが。会期は今月31(月)まで。ぜひ勇んで駆け付けてください。






1年7ヶ月ぶりの再開。やぼろじ在住のくーちゃん。
ニャーと鳴いて一応近づいてくるけど一定以上の距離は
縮めさせないというスタンスは相変わらず。     
      





 
 






2016年10月17日月曜日

いつものとおり

21(金) 仕入のため14時開店
22(土) 所用のため臨時休業
23(日) 乃木神社骨董蚤の市に出店

11月3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催


 土曜日に東京美術倶楽部の東美特別展に行ってきました。出展しているわけではなく、あくまで見物する側としてです。あわよくば、次の日に出店する大江戸骨董市向けの仕入ができたらいいなーと思って出向いたのですが、入って4秒でこれは違うと悟りました。ていうか、入る前から建物の威容を目の当たりにして、すでにここが別世界であることは分かっていましたが。欲しいものはいくつかあるも、手持ちのお金では足りないし、カード払いも限度額を遥かに越えているだろうから、その場はおとなしく見ることに徹したのでした。
 で、大江戸骨董市ですが、10月第3週というのは自分の経験上、すこぶる良い売上げが確保できることが分かっています。これは経験だけではなく、行動経済学的な観点からもある程度保証できる事実と言っていいでしょう。そして結果は、近年稀に見る惨敗。会社組織の営業責任者であれば、即僻地に左遷される事態。人間というのは、あまりにガッカリすると体内の糖分が著しく減少するようです。撤収後、失われた糖分を補うために、仕方なく浅草のフルーツパーラーゴトーへと赴きました。真夏時の行列はもはやなく、この時期ならすんなりと入れます。4種のぶどうのパフェ(税込1,380円)を注文しました。ジューシーで濃厚なぶどうとピオーネの自家製アイスの相性がとってもいいんですよ!と、取ってつけたような食レポを心の中で済ませ、暗くなった花やしきの前を通って、浅草寺を突っ切り、隅田川沿いのいつもの猫に挨拶をして家路についたのでした。


山形産のシャインマスカット、長野産のナガノパープル、
岡山産のピオーネ、アメリカ産のティムコの4種。

すっかり日が短くなりました。この日は満月。

2016年10月15日土曜日

答えは風に

16(日) 有楽町東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店
21(金) 仕入のため14時開店
22(土) 所用のため臨時休業
23(日) 乃木神社骨董蚤の市に出店

11月3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催


 小野寺公夫さんの展示会『漆工礼讃』には、多くの方のお運びをいただきました。また、宣伝告知に関しても様々な業種の方々からのご協力を賜りました。厚く御礼申し上げます。
 質素・堅牢・朴訥でありながら、洗練と上質を備えた小野寺さんの漆器に囲まれた日々が終わり、世に言うところの「公夫ロス」に罹ったようです。治癒させる手立ては、日々小野寺さんの漆器を使うことでしょう。今回自分は朱塗りの大椀を購入しました。いわゆる合鹿椀の形ですが、ケヤキの本堅地仕上げなので、見た目も手取りも頑健そのものです。店内で見るのと家で見るのとでは、空間の違いによる錯覚なのか、大きさの印象が変わります。箱から出したとたんに、デカい!と叫んでしまいました。こんな器でご飯を食べてたら、オバケのQ太郎か日本プロレス時代の豊登ばりの大飯喰らいと思われそうです。せめて無駄飯喰らいと呼ばれないぐらいには、精進してまいる所存です。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
 小野寺さんの質実剛健な漆器は、陶・漆・金工等を問わず、スタイリッシュな器全盛の東京(というか現代日本)の工芸シーンにおいては、異質で新鮮に映るかもしれません。あたかも現役時代の木村政彦が、タイムスリップして講道館に乱取り稽古をつけにやって来たかのようだ、と言えば分かりやすいでしょうか。むしろ分かりにくいですか。とにかく平地人を戦慄せしめるに足る凄い漆器です。どこかで見かけたら、ぜひ手に取って見てください。

小野寺公夫「朝鮮膳」
天板径39.7×高さ26.5×脚部径34.2センチ

材は栗。凄腕の木地屋さんとの連携で出来た作品。

反りや狂いを避けるために、天板は1枚ではなく
3枚を継いでいます。接合部が分からない超絶テク。
間もなく工房に返却いたしますが、お問い合せは
お気軽にどうぞ。              


 11月3日(木・祝)から吉田伊豆(よしだいず)氏の写真展『風流文字』が始まります。伝統工芸の次は現代写真。もはや何屋なのか分かりませんが、今さら言っても始まりません。お運びいただけましたら幸いです。





2016年10月8日土曜日

遍く照らし出す

10月12日(水)まで小野寺公夫の仕事『漆工礼讃』を開催中。
13(木)・14(金) 搬出休。

15(土) 仕入のため15時開店です。
16(日) 有楽町東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします。
22(土) 『詩について・対話篇 第9回』開催。16時半まで営業の予定でしたが、
所用により臨時休業いたします。
23(日) 乃木神社の骨董蚤の市に出店いたします。

インスタグラムもぜひご覧ください。こちらから→👃


 金曜日のこと。銀行に用があって京橋方面へ歩いていると、中央通りが交通規制で物々しい雰囲気になっていました。早々に用を済ませて、その足でゆで太郎に行くつもりだったのに、今さっき渡ってきた横断歩道が閉鎖されてしまい、通行不可で帰れず。いったい何事なのか。暫くすると、警察に先導された天蓋の無い大型車輛が、数多の男女を乗せてゆっくりとこちらにやって来ます。彼らは、首からぶら下げたキラキラ光る丸い物体を手に持って、それを時おり上方にかざしたりして、笑みを見せながら手を振っています。すると沿道に陣取った人々やビルの窓から顔を出す人たちは、一斉に歓声を挙げ手を振り返すのでした。何か大掛かりな民間信仰行事なのかと思いましたが、どうやらオリンピック・パラリンピックのメダリストパレードだったようです。というか、事前に告知の看板が出ていたから知ってはいたのですが、いかにも出会い頭という感じだったので、吃驚してしまいました。せっかくの機会ということで、メダリストたちのエナジーをお裾分けしてもらったつもりで店に戻ってきました。
 現在、漆芸家小野寺公夫さんの展示を開催中なので、ふだんの茶色っぽい店内は朱と黒に占められています。手間を惜しまず作られた漆器の佇まいが、さっき身に纏ったエナジーと融合して、不思議なオーラとなって逆光から漏れ出て、上空から八丁堀界隈を照らし出していると思い込みながら店番をしています。ご来店お待ちしております。


ワー。

ワーワー。

ワーワーワー。

史上最強と言われる柔道家が写っていました。
森岡さん・・?と思いましたが、違ったようです。

小野寺さんの汁椀が出来上がるまでの過程です。
最も堅牢と言われる本堅地による仕上げです。
まずケヤキの椀木地に生漆を塗り込みます。

生漆と米糊とケヤキの粉を合わせたものを付けて木地を
平滑にするのべ付けという作業。その後、口廻りや
糸尻、見込みなどを補強するための布着せを施します。

生漆、糊、木の粉を混ぜ合わせた惣身漆を篦で
付けます。それから地の粉、生漆、米糊を混ぜた
もので下地を付けます。地の粉の粒子を細かく、
米粉の割合を少なくしていって三回(三辺地)。 

砥の粉と生漆を混ぜた錆漆を付けます。
よく乾燥させた後、地研ぎの作業。
これで漆を塗るまでの作業が完了。

中塗り、本中塗り

上塗り。その後、節上げ(ゴミ取り)、乾燥。



民藝の教科書③『木と漆』グラフィック社
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2,160円(税込)