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2016年4月5日火曜日

頓痴気道中

8日(金) 仕入のため14時開店
9日(土) 臨時休業
10日(日) 長野県松本市大手二丁目にある木工作家三谷龍二氏のショップ『10センチ』脇の空き地で開催される10センチノミの市に出店
17日(日) 有楽町東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店
27日(水)・29日(金) 「雄壱郎雑記」でおなじみ相田雄壱郎氏による金継ぎ教室開催のため18時閉店

どうぞよろしくお願いいたします。


〜前回までのあらすじ〜
 とある事情で鳴子温泉まで行かざるを得なくなった八丁堀の古物業者。新幹線代を捻出できず、夜行の高速バスで出発。案の定よく眠れず、ふらつく足取りで曇りがちなる旅の空の下をさまようのであった・・。

 鳴子温泉までの道すがら、陸羽東線岩出山駅で下車、ねじ式の主人公になったつもりで知らない町を彷徨していると、いかにも地元の人御用達といった趣きのパン屋を見つけたので、入ってみました。中にはご近所と思われるおばあさん二人組の先客。なぜかインスタントのカップコーンスープを両手いっぱいに抱えていて、こちらを振り返ると、「これ、おいしいからオススメだよ」という意味のことをおそらく宮城弁で教えてくれました。どこにでも売っていそうなものに見えますが、一見の旅人にも言わずにはいられないほど美味なのかもしれません。とは言え、ようやく小腹が減ってきたところだったので、おばあさんのせっかくのレコメンドはさらりと受け流し、金時豆のパンを1個買って外に出ました。むしゃむしゃ歩き食いしながら、駅でもらった観光マップを頼りに竹工芸館に向かうことにしました。



 いい感じの川に遭遇したので、「いい感じの川だなあ」と凡庸な感想を浮かべながら歩いていくと、すぐに大通りに出ました。右に曲がると工芸館が見えます。岩出山の篠竹細工というのは、かつて武士の手内職として城主から奨励され、やがて農閑期の女性の仕事として伝わっていったものだそうです。ふだんは館内の作業場で製作している様子を見ることができるそうなのですが、この日は誰もいません。受付の女性に尋ねると、なぜか今日に限って会議が入ってしまい、みんな上の階に行ってしまったとのこと。これは、八丁堀の古物業者に細工の手の内を見せてはならないという、何者かの悪意でしょうか。疲れた頭に妄想じみた考えがのしかかります。どうする術もなく籠を一つ買って外に出ました。




 買ってから気づいたのですが、こんなフラジャイルな物体を旅の途中で買ってしまったら、その後の行動が面倒臭くて仕方ありません。自分のしたことに釈然としない気持ちでてくてく歩いていると、味わいのある建物を発見。岩出山伊達氏により開設された江戸時代の学問所「有備館」です。近くには古い造り酒屋もあり、この辺りは城下の文化が色濃く残る土地のようです。俄にいい旅夢気分に浸っていると、有備館駅に到着。実はこれから来る列車にはある人物が乗っているはずで、その人とは車内で落ち合う手筈になっているのでした。


有備館

森民酒造
再び陸羽東線に乗り込み、いよいよ鳴子温泉へ向かいます。車内には古川から乗って来たある人物ことA氏が悠然と座っていました。そしてこのA氏こそが今回の旅を画策し、自分を巻き込んだ黒幕なのです。
                                    (つづく)





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