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2016年9月21日水曜日

黄色い本と白い本、そして銀色の円盤

22(木) 小野寺公夫展宣伝行脚のため14時開店です。
23(金) 仕入及び宣伝行脚のため14時半の開店です。
24(土) 臨時休業いたします。
25(日) 今度こそ東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします。

29(木)・30(金) 展示会準備のためお休みです。
10/1(土)〜12(水) 小野寺公夫の仕事『漆工礼讃』開催。
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 ある日、詩人の古溝真一郎さんに、現存の詩人で一番すごいのは誰かと聞いたら、言下に「馬野ミキだ」と答えました。聞いたことがない人なので、誰だそれは、本は出しているのかと尋ねると、「出している」と答え、しばらく経ったある日の夜、古溝さんは小さな黄色い本を携え店に来てくれたのでした。それが馬野ミキの詩集『子供の晩年』でした。
 たとえば「高田馬場」と名づけられた詩の一節。

「本当に可哀想なのはかわうそです」別の男が言って笑った
笑顔とはいいものだろうか?
俺はノートのこれから書く部分を黙って眺めた
彼らが行き過ぎるのを待った

 また「安田さんの家で」からの一節。

小学生のころ
京都で、
知らない町を自転車で探検してて
角まがったらいきなりガスタンクがあって
、永遠に

見上げた-

 何事も上手に遣りおおせなければなければならないと思っている世間の慣習からすると、確実に何かがズレてしまっている人であることが、どことなく窺い知れます。今どきこんな本が売れるのかと思いきや、数日で初回入荷の数冊は完売。何の宣伝もしないうちから、店に来てくださった方が「これ何?」「詩集です」「もらいます」といった調子で買っていかれました。白昼社というプライベートプレスからの出版なので、一般書店での流通はほとんど無いと思います。追加を注文中ですので、入荷次第お知らせ致します。

 そしてまたある日届けられた一冊の本。白を基調としたデザインの『料理好きのうつわと片づけ』です。発行所が河出書房新社、著者は人とうつわ編集部。編集部と言っても所属しているのは、ライターの衣奈彩子さん一人のようです。劇団ひとりや暴力温泉芸者と同じようなものでしょうか。とにもかくにも、ここまで膾炙した器という道具と日々どう付き合うかという視点で編まれた本です。使ったら片づける。世に名の知れた料理好きの特別ではない一日を切り取っています。真似の不可能なテーブルコーディネートとかは出てきません。消費を促すのではなくて、縁あって手元に来た器との過ごし方の手引書でしょうか。古典になり得る一冊だと思います。これは一般書店で入手可能です。大型書店であれば新刊台に平積み、中型以下の書店でも趣味実用書のコーナーに棚差しぐらいの扱いにはなってるはずです。

 それからもう一つ。『scenes』というタイトルのCDを手に入れました。新村隆慶さんが猿山修さんのレーベル「ギュメディスク」から出したものです。当店でイベントを主宰していた時には、おにぎりを握ってきたり、ホームベーカリーでパンを作ったりしていましたが、いつの間にかCDを制作していたようです。7曲すべてがオリジナル。10月の小野寺さんの展示会で何を流そうか迷っていたところに、いいBGMがやって来ました。このCDがなかったら、ナパーム・デスの『ハーモニー・コラプション』でもかけようかと思っていたところです。さる山さんと吉祥寺のOUTBOUNDさんでお取扱いがあるとのことです。

 小野寺公夫展も差し迫ってきました。宣伝行脚と称して、いつかはあなたの住む街へ行くかもしれません。どうぞよろしくお願い致します。


『子供の晩年』帯コメントが三上寛!中津川フォークジャンボリーの
猛者をも驚嘆させる言葉による真の芸術。           
  『料理好きのうつわと片づけ』カバーを取った表紙もかっこいいのです。
   『scenes』活版仕様のカバーに平松麻さんの絵の原寸大カード。     

 




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