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2016年11月28日月曜日

世界と逆光

12/4(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします
12/9(金)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催

インスタグラムで店内商品を紹介してます。こちらから→👃


 日曜日、nestさんnoeudさんと連れ立って、というか車に同乗させてもらい、古道具坂田さんの私設美術館as it isにて開催中の『沖縄パナリ焼展』を見てきました。形・肌とも群を抜くパナリが、無造作なような計算されたような置き方で40個ほどゴロリと並んでいました。3つほど持ち帰って横流しすれば、1年分ぐらいの家賃は優に確保できるだろうと、古物商ならば誰もが思うような凡庸な考えは敢えて胸の内に秘め、清澄な空間と逸品との取り合せを味わってきました。当初12/4(日)までの会期が来年3/26(日)まで延長されたので、機会を見つけてぜひ足を運んでください。




 さて、12/9(金)から始まる『点店』に向けて、共同展示の世界さんから商品写真を送っていただいています。数ある中で、本日は世界さんがブルノ・デシャルムばりに拾い上げて来た魅惑的なドローイングをご紹介します。

3人ともソップ型の力士がレスラーに転向したような
感じですね。ブルドッキング・ヘッドロックをかけた
状態で、敵方のパートナーにドロップキックが炸裂した
シーンでしょうか。                
ハーリー・レイスのような風貌のパンツ一丁の人が
頭に接続された触覚からビームを出しています。
いったいどういうシチュエーションなのでしょうか。

月光仮面的な何かでしょうか。月夜の巨人という
キャプションが、萩原朔太郎のような抒情を画面に
醸し出しています。            

破壊の快楽と死への欲動に満ちた画面。富澤赤黄男の
「蝶墜ちて大音響の結氷期」という句を思わせます。


 というわけで、アカデミズムからは顧みられることのないだろう、不思議な力に満ちた絵の数々。ぜひ点店にお越しいただき、実物をご覧になってください。お待ちしております。


逆光の在庫から世界さんの世界に呼応させられそうな
ものと云えば、たとえばこんなものでしょうか。  
ロッテの何かのおまけ。シルバー仮面のステッカーです。

銅板に一部残る鏨(たがね)の跡。as it isの帰り途に
発見した瀟洒な道具屋さんで仕入れました。   











 

2016年11月23日水曜日

諸々の件

12/4(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします
12/9(金)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催

インスタグラムでの店内商品のご案内をぜひご覧ください。→👃


 以前に金継ぎ教室でお世話になった相田雄壱郎さんの父上である啓介氏の展示即売会『相田啓介 うるし工芸展』が、日本橋の髙島屋7階にて開催されます。期間は11月29日(火)〜12月5日(月)。名義は啓介氏ですが、実際には漆工父子鷹ということで、雄壱郎氏の作品も並ぶとのこと。展示に向けての悲壮な決意がブログ雄壱郎雑記に綴られているので、ぜひご一読を。嘉村礒多とトーマス・ベルンハルトを足したまま2で割らないような文章を目にすれば、誰もが髙島屋の和食器売り場に駆けつけずにはいられないでしょう。大挙して押しかけて、百貨店の工芸・外商関係者を驚嘆させるのも一興です。

 そして師走に入れば、中央区古道具イベント『点店』の開催です。お蔭さまで4回目を迎えることとなりました。今回は銀座一丁目の古美術商、古美術川﨑さんが点店の会期に合わせて、何かしらアレなものをどうにかしてくださるそうです。というわけであの界隈、さんのはち⇄森岡書店⇄古美術川﨑の無限ループの完成によって、更にお楽しみいただけることになりました。もちろん、一生そのループにハマっているわけにもいかないでしょうから、頃合いを見て逆光⇄MAREBITO、No CONCEPTにもお運びください。巡回のモデルコースは追ってFacebookなどでご案内いたします。
 毎回ゲスト業者をお呼びしている当店ですが、この度のタッグパートナーは、毒とカワイさとユーモアを目分量で寸分の狂いもなく適正配合してみせる、伝説のトレジャーハンター「世界」さんです。雑然とそこらに放り出されていれば誰もがスルーしてしまう物たちも、世界さんが取り上げた瞬間から輝いて見える不思議。今回の展示ではその謎に迫ります。というのはウソで、それは自分の手に余ることなので、ぜひお越しの皆さんから教えていただきたく思います。逆光も手に取ってもらえる物を集めている最中です。どうぞよろしくお願い致します。


2週間後に世界さんの世界がこの店内を席捲します。











2016年11月15日火曜日

ある日、国立にて

20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 零細業者たるもの、店が暇だからといって、おやつを食べ過ぎたり、闇金ウシジマくんの無料配信動画に見入ったりするのは禁物です。これらは体と心に良くない影響を与える行為であり、健全な心身を以て資本とする個人事業主にとっては慎むべきことです。
 そこで日曜日、展示続きで疲れた肉体と精神を癒すために、吉原航平氏の『紙偶』展と、一日のみ同時開催されるという『偶の市』を見に国立の台形へ行ってきました。『紙偶』は先のcircleでの『俗の術』と謂わば対を成す展示ですから、本来ならば会期早々に滑り込んで、台形店主特製のプリンを食しつつ、吉原さんに見聞きしたことを紹介したいところでした。『俗の術』では支持体として在った紙が、『紙偶』においては千切られ撚られ貼られることで、直接の存在として世に現れてきたという感じです。木炭での素描の的確さにも驚きましたが、紙による表現は、また別の驚きをもたらします。試行錯誤はあったのかもしれませんが、目の前に在るのは、手に逡巡の跡が見られない明確な造形です。いったいどうしてこんなものが容易く作れるのか、前世の因縁に何かあるのだとしたら、催眠療法で聞き出してみたいところです。
 『偶の市』ですが、こちらは吉原航平&伏木庸平氏の持ち寄りの品を並べた店内蚤の市です。得体の知れない木偶などの民間信仰遺品がテーブルを埋め尽くし、垢抜けた店内の雰囲気と相俟って、意図的に時空を歪めることに成功していました。こうしたものを眺めながら、コーヒーやいちじくのコンポートをいただける店というのは、国内を探し歩いてもそうは見当たらないでしょう。海外に目を向けて熱心に情報を収集すれば、あるいはあと3店舗ぐらいは見つかるかもしれませんが。存在の稀なものというのは、それだけである種の熱を帯びているようです。この蚤の市、当人たちに回を重ねる意向があるようなので、秘かに動向を伺いましょう。あまりの不穏さに、国立市が文教地区の指定から外されてしまったら凄いと思います。

こんなものが貼ってあるので、時おり小さな人たちが
何かを察知して店内を覗き込んだりします。    

卓越した造形。
おそるおそる覗いてみれば、洒落たカフェのような
空間なのですが・・              

テーブルには、もはや飲食店であることを諦めたかの
ような陳列。                  

足下もこんな感じ。 
天井付近も。

松本の七夕人形「カータリ」。   
レースクイーンのような脚線ですね。




 
 

2016年11月4日金曜日

複製技術時代のジャーマンスープレックス

11/3(木・祝)〜12(土) 吉田伊豆写真展『風流文字』を開催中

19(土) 村上蕉雅さんによる花活けのワークショップ『古物に花活け』を開催
参加者募集中です
20(日) 東京国際フォーラムの大江戸骨董市に出店いたします

12/9(土)〜13(火) 古道具イベント『点店4』開催


 刺繍があって漆器があって、写真が来て、間を縫うように古道具が3回。というのが今年当店で催した(催すことになる)展示会です。ややもすると脈絡の無い取り合せに思えるのですが、実際脈絡は無いようです。その時々の縁をつないでみたらこうなったという感じで、思い返すと感に堪えません。
 現在開催中の吉田伊豆写真展は、248枚もの作品が並ぶ意欲に満ちた展示です。満ち溢れすぎて、一見では2L版の観光絵ハガキがばら撒かれているだけに思えるかもしれません。伊豆さんの写真はデジタルなのですが、古いアルバムから引き剥がしてきたかのような銀塩写真に見えると思います。これはインクジェット方式で出力された写真をお湯で洗うことで生まれる効果だそうです。水をくぐった印画紙は少し波打って、画面に表情を作り出します。時に洗いすぎてインクが流れてしまい、ニエプスの風景写真のような黎明期の趣きを見せている作品もあります。またフレーミングの妙によって対象物が抽象化し、上下左右が分からなくなったものもあります。どこかアイロニカルなユーモアが漂っていて、エイジングによる単なる古写真の再現とは一線を画しています。じっくり見ていると、表現形態の枠組みを意識した批評性と、物を写し取るという写真に本来潜む呪術性が静かに開示してきて、徐々に体内へ浸透した後に、ある地点で衝撃が駆け抜けます。関節技の応酬から最後に投げ技を決められたといった感じでしょうか。ぜひ時間をかけてゆっくりとご覧になってください。お待ちしております。


プリントを買うという習慣が日本には根付いていないと
思いますが、所有してみたくなる写真がたくさんあります。
並んでいる写真はすべて販売しております。