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2017年8月15日火曜日

日和下駄びより

 日曜日、午前中に墓参りを済ませたあとに、特にあてもなく上野の山まで足を延ばしてみました。京成上野駅から地上に出れば、横断歩道の向うには「あんみつ みはし」があるので、氷白玉あずきソフトクリームのせでも軽く食べていこうかと思いましたが、店外まで伸びる長蛇の列に恐れをなして諦めました。しかし人間というのは、一度脳内が甘味モードに設定されてしまうと、何かしら冷たくて甘いものを摂取しないと設定解除されない生き物です。そういえば黒門町のどら焼きの「うさぎや」がカフェを始めたのを思い出して、そちらに行ってみると、タイミングよく空席がありました。まさにステキなタイミングこそが、この世で一番肝心だと思わされた瞬間でした。かき氷を特盛つゆだくで注文するつもりでしたが、店内冷房の効きすぎによって餡みつに変更。さすがに旨いものでした。これで池之端の藪蕎麦との最強コンボが完成なのか?と思っていたら、薮は去年閉店していたんですね。無念です。

うさ餡みつ 870円。

 それから不忍池の方に抜けると、蓮の葉の緑と花の点々が水面を向うまで覆っているのが見えてきました。この辺りに来ると、人は誰もが永井荷風と宮本浩次に乗り移られたようになるものです。弁天堂に近づくにしたがい、焼いた粉ものにソースを塗りたくる匂いが体を包みます。上野と浅草はこの匂いがします。同じ銀座線沿線でも、表参道や溜池山王からはこの匂いはしません。この匂いを嗅ぐだけで、パンダ舎前の行列、懸垂式モノレール、花やしき、観音温泉などが矢継ぎ早に思い出されます。そんなプルースト的命題と戯れながら、観音堂に向かう急階段を上って噴水広場へと出ると、フェスティバル的なものが開催されていました。パキスタンと日本のフレンドシップを顕彰するお祭りのようで、歌や踊りや肉やポテトなどでかなりの盛り上がりを見せています。にわかには入り込めないぐらいに人が溢れているので、迂回しつつ東京国立博物館に向かいました。常設展示を見て勉強してるんだぞ!と自分に思い込ませることが、たまに必要なのです。



広場のフェスティバル。カメラに撮ると、場末の運動会
みたいですが、実際は大賑わいを見せていました。  

竹の子族っぽいパフォーマンス。結構盛り上がっていた
はずですが、写真ではアンリ・ルソーの絵のように哀しげに
写っています。                  

 いつものように考古展示室から見始めました。あまり物欲しそうな顔をしてると係の人に怪しまれそうなので、何食わぬ風を装っていたのですが、それがかえって不自然で、もしかしたら盗品ブローカーみたいな顔つきになっていたかもしれません。以下、欲しいものを適当に撮り散らかしました。

女子埴輪。髷がふっくらしていて、束ねた髪の感じが
よく出てます。                 

人型が張り付いてます。古代ペルー、モチェあたりの
土器みたいです。こちらの方がずっと古いのですが。

漏斗口になっていて機能的な造形とかっこいい線刻。

北海道室蘭出土、続縄文時代の鯨骨製の鋤だそうです。

銅製の骨臓器。奈良時代、大阪出土。

これは東洋館の中国コーナーにて。
元時代の綴織。

これも。

 というわけで、閉館時間いっぱいまでゴダールの「はなればなれに」みたいに駆け足で館内を見て廻りました。広場ではまだお祭りが終わっていなかったので、せっかくだからパキスタンっぽいもので小腹を満たそうと、列のできてない屋台で適当なものを買ってみました。夏休みも終わりです。今月後半もどうぞよろしくお願い致します。

うねうねとした生き物みたいですが、ロングポテトです。
おそらくパキスタンとは無関係でしょう。森永の
ポテロングの2.5倍ぐらいの長さはありそうです。
その名に恥じぬ長さ。明太マヨソースをかけて
もらいました。美味しいと言っていいと思います。







 

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