ページ

2017年12月25日月曜日

戯れた頁たち

1/7(日) 有楽町大江戸骨董市に出店
 
 ただいま逆光にて本年最後の展示会、植木智佳子個展『頁の戯れ』を開催しております。作品は古書の上に岩絵具で絵を描いたり、古布や写真を貼り付けたりした一種のオブジェというべきものです。が、本という形態が維持されている以上、視覚だけの認識では不十分で、手に取って頁を繰る触覚の参加を強制されます。目よりは手の方に負荷がかかるかもしれません。支持体になっている古書は植木さんが当店で買い上げてくれたものですが、こうして作品となった後もさらに売歩の形で利益を取られるのですから、作家にとっては二重に搾取される構図になっています。まさに重層的に複雑化した資本主義社会における美術業界の雛形を提示しようという当初の狙い通りです。というのはウソですが、とにかく連日多くの方にお運びいただいていて、古い紙を捲るカサッという音が時おり店内に響いています。
 製作に使われた本の多くは1970年代以前発行のもので、調べたわけではないのではっきりとは分かりませんが、現在流通している一般書籍の紙質とはずいぶん違うようです。ことに戦前に発行された本の紙は明確に質の良さが際立っているそうで、絵具の乗りがぜんぜん違うと植木さんが言っていました。古い本のおもしろさには玩物喪志以上のものがあって、視覚・触覚、もしかしたら嗅覚・聴覚・味覚さえも研ぎ澄ます力があるのかもしれません。29(金)まで。閉店時間を連日20時に延長しております。ぜひお運びください。
 そして展示前日まで地上の楽園、沼津まで交換会に行っておりまして、これは愉しい!と店主が思い込んでいるものがいくつか入荷しています。追ってご案内していきますので、しばしお待ちくださいませ。
 もはや退っ引きならないほどの年の瀬、お忙しいとは存じますが今週もどうぞよろしくお願い致します。

古い版の岩波少年文庫の『クリスマス・キャロル』
重しは花巻人形と伏見人形?          

「建築と社会 1961年10月号」

菊池寛の『貞操』

富士はやっぱり特別な山なのだと思わされます

疾走する車窓からの富士





 

2017年12月14日木曜日

音速の生徒たち

12/15(金) 『小江戸骨董市』展示設営のためお休みです
12/16(土)17(日) 『小江戸骨董市』うつわノート川越

12/20(水)21(木) 仕入のためお休みです

12/22(金) 『頁の戯れ』展示設営のためお休みです
12/23(土)〜29(金) 植木智佳子『頁の戯れ』

インスタグラムもぜひ→👃


 師が走るぐらいならば、我ら下っ端どもはマッハの速度で世界を駆け抜けなければならない。わけもなくそんな強迫観念に駆られる年末ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。改めてスケジュールを書き出してみると、展示会やその準備や仕入などで、まともに店を開けられる日数もほとんどないことが判明して驚きます。もっとも「いつだってまともではないけど?」と言われそうですが、そしたら「うむ」と笑って窓の外を見るぐらいの余裕は欲しいものです。
 直近では川越うつわノートさんでの『小江戸骨董市』。志村道具店トトトト質環の各氏と逆光の4店舗の出展です。会期2日とも4人在廊予定ということで、下手したら、むくつけき男たちが犇めき合ってるだけのイベントになりかねないので、年の瀬のお忙しい中ではありますが、ぜひ皆さま万障お繰り合わせの上お越しくださいませ。おそらく四者四様の涙まじりに仕入してきたものが並ぶはずです。
 それから植木智佳子さんの個展『頁の戯れ』ですね。おととしに森岡書店茅場町店、去年新川のマレビトと来て、今年は弊店にての開催となりました。岩絵具を使っているので日本画の範疇に入るのでしょうが、展示する店舗に合わせて支持体を変えているのが面白いところです。マレビトさんの時には古道具に絵が描かれました。今年は古書の頁を繰って絵具がのります。展示会場が徐々に西に進んでいるので、来年あたりは出光美術館などでの開催もあるかもしれません。青田買いは今のうちです。会期最終日の29日が逆光の本年最終営業日です。最後の最後までお付き合いください。


火消し道具の鳶口の柄の先にスワッグをぶら下げて、背景にはネウマ譜を
貼っています。クリスマスの飾り付けのつもりでしたが、あまりの
寒々しさに気づく人もいません。なかなか侘びた風情だと思ったのですが。